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多部未華子特集
インタビュー
今までの映画で一番、

——撮影に入る前に、原作は読まれましたか。

多部 オーディションを受ける段階で読んだのですが、素直に面白いと思いました。とくに終わり方ですね。「これでいいの?」って感じもするんですが、そこが普通の小説と違って独特というか、とても面白かった。絶対、主人公のエリ子を演じたいと思いました。

——役づくりをする上での苦労はありましたか。

多部 私、役づくりはあまりしないんです。撮影前に考え過ぎちゃうと、逆に現場で監督から何か言われたときに戸惑うような感じがするので……。あまり考えないで現場に入ったほうが、自然に映画の中の世界に入って行けますね。それと、今回の役は今までの映画で一番私の素に近いかもしれない。勝ち気な性格もよく似ています(笑)。私は兄と2人兄妹で、弟はいないんですが、もし弟がいたら、きっとこんな感じなんだろうなと思って演じました。

——弟(ダイゴ)役の岩田力クンとは演技について話すようなことがありましたか。

多部 撮影以外で話すことはほとんどなかったですね。現場ではお互い、物語の中の関係が続いていた感じがします。岩田クンも私にあまり話しかけてこなかったし、私が話しても、ちょっと怖がっているというか、一歩ひいているみたいな感じで(笑)。それは今になって考えると、岩田クンの役づくりだったのかなあとも思います。

——映画では、両親がいないもう一つの世界に入り込んでしまうわけですが、それがもし現実になったら、多部さんはどうします?

多部 ちょっと考えられないですね。撮影で地方にロケに行き、ホテルでの一人暮らしが続いたことはありますが、家に帰っても両親がいないという状況は正直言って困ります。自分は両親がいないとやっていけないですね。お兄ちゃんは小心者なんで、もしこんなことが現実に起こったら、私が引っ張っていくことになるかもしれないけど、私自身もしばらくは家でヘコんでいると思います(笑)。でも、そういう意味では、私を含め、ふだん親がいるのが当たり前だと思っている人にぜひ見てほしい作品ですね。考えることは少なくないと思います。

——中村義洋監督の印象は?

多部 監督によっては情熱的で、それを前面に出す方もいますが、中村監督は、とても温和でノホホンとした感じの方でしたね(笑)。あまり怒ることもないし、現場の空気もどちらかと言えば淡々としていました。それと、撮影前に、岩田クンとのやりとりを含め、何回もリハーサルをやっていたんで、現場に入ってから、細かい指示が出ることはあまりなかったですね。けっこう自由に演じさせてもらっていました。

——一番印象に残っているシーンを教えてください。

多部 最後に公衆電話からお母さんに電話をする場面ですね。もうこれで二度とお母さんに会えないし、話もできない……つまり、エリ子は新しい世界で生きていくことを決意したわけで、私自身すごく感じるものがありました。

——最後に作品の見どころを。

多部 ちょうど思春期真っ只中にある中学2年生の女の子の感受性みたいなものが、すごくよく描かれています。同世代の人にはぜひ見てほしいし、すでに大人になってしまった人も自分の思春期の頃と重ね合わせながら見てほしいですね。岩田クンが演じる弟も、とても個性的で面白いですよ(笑)。

関連作品1
ルート225
日本映画の新星

日本映画の新星・多部未華子主演

今、日本映画で最も輝いている十代の女優といえば、文句なしに多部未華子だ。『HINOKIO』『青空のゆくえ』の演技で注目され、第48回ブルーリボン新人賞を受賞。CMでも同世代の女優やアイドルにない清新な魅力を放っている。いかにも意志の強そうな眼差しと、豊かな感受性を感じさせる口もと。ときおり見せる不満げな表情も周囲に媚びない、独特の個性となっている。そんな彼女の魅力が存分に生かされた作品が『ルート225』である。演じるのは中学2年の少女エリ子。ある日、弟と2人、それまでいた日常とは微妙にズレた世界に迷い込んでしまう。いつもとまったく同じ家も学校もあるのだが、そこには両親もいないし、何年も前に死んだはずの友達も生きている。こうした解釈不可能な事態にうろたえながらも、エリ子は自分が置かれた状況を懸命に生きようとする。少女らしいとまどいや、少し突っ張ったクールな態度も、多部未華子という女優の存在によってリアリティをもって迫ってくる。

思春期の痛みを描いた秀作

いわゆるSFでいうパラレルワールドを題材にした映画である。しかし、SF的世界からの脱出を描いた冒険ドラマなどではない。突然、不可思議な世界に迷い込んだ姉弟の心理や行動を丹念に描くことにより、思春期特有の孤独や心の揺れを鮮やかに表現した作品なのだ。人は誰も現実の世界に対して「ここは本来、自分がいるべき場所ではない」と思う時期がある。ここに出てくるもう一つの世界は、そんな十代の違和感や不安感を象徴している。また、タイトルのルートには「道」の他に「平方根」の意味がある。√225は15。つまりエリ子はルート225を渡り、14歳から15歳へと成長していくのだ。ときに反発しながらも健気に姉を思う弟ダイゴ役を演じたのはオーディションで抜擢された岩田力。原作は芥川賞作家の藤野千夜。監督は『仄暗い水の底から』『クイール』などの脚本でも知られる中村義洋。次回作に『アヒルと鴨のコインロッカー』が控える。少女が大人へと成長していく痛みを見事に描いた青春映画の傑作が誕生した。

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関連作品2
ピクニックの準備
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第2回本屋大賞に輝く

この秋一番の話題作『夜のピクニック』で描かれる「歩行祭」 の前日談を描いた心温まるショート・フィルムズ。原作はもちろん恩田陸。大ベストセラー小説『夜のピクニック』はこの短編集が元になって生まれた。多部未華子、石田卓也、郭智博、西原亜希、加藤ローサら映画と同じキャストが出演しているところが、何よりの魅力で、それぞれの登場人物とエピソードがすべて本編へとつながっている。まさに映画を2倍楽しむための魅力あふれる序章。映画の前に見ても、映画の後で見ても楽しめる趣向となっている。演出も『夜のピクニック』の長澤雅彦の他、『居酒屋ゆうれい』の渡邊孝好、『SHINOBI』の下山天、『g@me.』の井坂聡、『ヘアスタイル』の宮野雅之、『リング0〜バースデイ〜』の鶴田法男と、今の日本映画界を支える俊英が各話を担当。クオリティの高さは折り紙つきだ。

STORY
在校生1,000人が全員で24時間80kmを一昼夜かけて歩く、恒例のイベント“歩行祭”。その前日に起こったエピソードの数々が描かれる。神社に行って願いをかける生徒。進路相談で担任に叱責されても頭の中にはラップが鳴り続けている生徒。想いを伝えたい同級生へのプレゼント選びに熱中する生徒…。彼らは明日、どんな歩行祭を迎えるのか。

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全国の本屋さんが一番薦める本として第1回の『博士の愛した数式』に続き、第2回本屋大賞を受賞した恩田陸のベストセラー小説『夜のピクニック』が早くも映画化された。全校生徒1,000人が一昼夜をかけて80kmを歩き通す「歩行祭」。この年に1度のイベントを通じて、高校3年生のかけがえない友情や切なく揺れる想いが細やかに描かれる。歩行祭の間に密かに賭けをしたヒロインを演じるのは『HINOKIO』『ルート225』などに出演し、今最も輝く十代女優・多部未華子。相手役には『蝉しぐれ』の演技が記憶に新しい石田卓也。監督は『ココニイルコト』『青空のゆくえ』などの秀作で注目される長澤雅彦。

あきらめず、最後まで歩き続けることで叶う小さな奇蹟——世代を超えた青春映画の傑作が待望のロードショー公開!