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官能と孤独が、心の扉をノックする。

フランスの名匠パトリス・ルコントが描く大人の愛の物語

色した『仕立て屋の恋』、日本でも大ヒットした『髪結いの亭主』など、愛に傷ついた孤独な男女の心の機微を細やかに、そして官能的に描いてきた名匠パトリス・ルコント最新作。物語は思いがけない出会いとともに幕を開ける。精神科医を訪ねたはずのアンナは、扉を間違えてウィリアムの税理士事務所に足を踏み入れ、おもむろに結婚生活の悩みを打ち明け始める。勘違いとわかりつつも話を聞くウィリアム。間違いに気づいた後も、ウィリアムのもとを訪れては赤裸々なうちあけ話をするアンナ。さらにドラマはアンナの主治医になるはずだったモニエ医師をも巻き込んで進んでいく。しだいに明るさを取り戻し、魅力的になっていくアンナに対し、すっかり彼女の魅力の虜になっていくウィリアムだが、果たして彼女の話は嘘なのか本当なのか。まさにスリラーともロマンスともつかない世界、あるいはその境界線上で男女の不可思議な関係が綴られる。

パトリス・ルコントの映画と言えば毎回魅惑の美女が登場するのが常だが、今回のヒロイン、アンナ役に選ばれたのは『仕立て屋の恋』以来15年ぶりにルコント作品に出演したサンドリーヌ・ボネール。本作における夫婦関係の苦悩と倦怠を漂わせながらも、ときに少女のような快活さを垣間見せる円熟の演技は、まさに絶賛! 相手役のウィリアムには『恋愛小説ができるまで』『バルニーのちょっとした心配事』のファブリス・ルキーニ。ルコント作品の常連男優がそうであるように、美男ではないが人間味あふれる個性が持ち味。ふとしたことから人妻に愛情を抱いた冴えない中年男性を、人生の悲哀やおかしみを漂わせながら見事に演じた。本作はフランス本国だけでなくアメリカでも絶賛され「ヒッチコックの最高作の精神を継承している」(ニューヨーク・タイムズ誌)とも評された。その言い方に倣えばボネールとルキーニのカップルは『めまい』のキム・ノヴァクとジェームズ・スチュワートのように魅力的だ。

STORY

ある日、孤独な中年税理士ウィリアムの事務所に美しい女性が現れる。「結婚して4年ですが……夫とうまくいかないんです」。彼女はウィリアムが口をはさむ間もなく、すっかり冷え切った夫婦間の悩みを話し始めた。ウィリアムは、すぐに自分が同じ階の精神分析医と勘違いされたことに気づくが、真実を明かせないまま、いつしか彼女の話に惹き込まれていく…。

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監 督
パトリス・ルコント
Patrice Leconte
作家性と娯楽性を併せ持つ才人


漫画家として活躍後、75年監督デビュー。
『髪結いの亭主』『仕立て屋の恋』など作家性の強い恋愛映画から『ハーフ・ア・チャンス』などのアクション、『タンデム』のようなロードムービーまで幅広い作品を手がける。1947年生まれ。