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全国の書店員が選ぶ本屋大賞受賞作の待望の映画化である。本屋大賞といえば第1回が『博士の愛した数式』、第3回が『東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜』が受賞、今や本好きにとって最も信頼できる文学賞である。この映画の原作はその第2回受賞作。青春小説からSFまで幅広い作品で支持される恩田陸の最高傑作ともいわれる青春小説だ。監督は『ココニイルコト』『13階段』『青空のゆくえ』などの一連の秀作で、その作家性を高く評価される長澤雅彦。主演は長澤作品『青空のゆくえ』でブルーリボン新人賞を受賞、『ルート225』で映画女優としての才能の大きさを印象づけた多部未華子。そして『蝉しぐれ』でキネマ旬報ベスト・テン新人賞を受賞した石田卓也。他に『花とアリス』の郭智博、TVドラマ『ダンドリ。』の加藤ローサ、西谷亜希、『スウィングガールズ』の貫地谷しほり、松田まどか、『美しい夏キリシマ』『初恋』の柄本祐ら。まさにこれからの日本映画を背負う期待の若手俳優が集結した。
映画の題材となっているのは全校生徒1000人が24時間で80キロを歩くという高校行事。2時間近い物語のほとんどは路上で展開する。歩行祭のスタート直前、校庭をとらえたオープニングの長回しのシーンからワクワクさせられる。貴子(多部未華子)はこの日をある思いを迎えていた。それは今までに一度も話したことのないクラスメイトの西脇融(石田卓也)に話しかけること…。80キロを歩き続けるドラマのなかには、転校した親友(加藤ローサ)が仕掛けた“おまじない”を始め、恋愛や友情のいくつものエピソードが盛り込まれている。まるで青春がこの一日に凝縮されているように。ロケ撮影による鮮やかな映像と、思春期特有の繊細な心の動きが共鳴し、いつしか映画を見ている自分も歩行祭に参加しているような気分になってくる…。
映画に描かれる24時間80キロを全校生徒で歩く「歩行祭」は、茨城県立水戸第一高校において「歩く会」の名前で行われている実在の伝統行事である。同校は原作者・恩田睦氏の母校。映画と同様に24時間かけて80キロを歩き通し、前半60キロは「団体歩行」といわれ、各クラスが行列になって歩き、途中数時間の仮眠をとった後、残りの20キロは歩いても走ってもいい「自由歩行」となる。「自由歩行」では親しい友達など誰とでも歩くことができ、これも映画と同じである。 >

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── 最初に脚本を読んだときの感想を聞かせてください。

石田 まだ原作となった小説が本屋大賞を取る前で、僕も小説は読んでいませんでした。そんなこともあって、最初に脚本を読んだときは、ただ歩くだけの話が映画になるのかなあと思いましたね。でも、脚本を読み込み、リハーサルを重ねるうちに、静かで淡々とした物語であることがこの映画の持ち味なんだということがわかってきました。

── 石田さんが演じた西脇融という役をどう感じましたか。

石田 理解できる部分もあるし、理解できない部分もありました。たとえば、貴子(多部未華子)とはある特別な関係にあるわけですが、あそこまでそれを意識して、かたくなになる必要があるのだろうかと…。そんな彼の気持ちを表情で表現しなくてはいけない。脚本に「……」と書かれている部分をどう演じるかが難しかったですね。

── 目の演技が印象的です。

石田 僕としては多部ちゃんの芝居を受け、それに応えるかたちで演じたつもりです。セリフが少ない分、表情の演技で悩みました。でも、出来上がった作品を見た人に「セリフは少ないけど、顔で気持ちが伝わってきた」と言っていただいたときは嬉しかったですね。西脇融というのはシャイで不器用な人間です。不器用なところは僕に似ていると思いますね(笑)。

── 撮影前に、主要キャストと監督、スタッフで24時間かけて60キロを歩く「歩行祭リハーサル」を実施されたそうですが。

石田 やるだろうなとは予想していたんですけどね。でも、実際に歩くのは、やっぱり嫌でした(笑)。とくに、僕はその前日が別な作品の撮影で徹夜でしたから。けっこう疲れていたんで、きつかったです。しかも、僕は翌日も別な撮影が入っていて、途中、深夜3時くらいにバスで帰ったんですよ。そんな事情も知らないで、他のみんなから「あいつ、バスで帰っちゃうよ」みたいに思われたのは辛かったですけど(笑)。

── 「歩行祭リハーサル」の経験は演技の上で役立ちましたか。

石田 たいへんそうなことって、やる前は嫌でも、いざやってしまうと満足感や達成感があるし、撮影に入る前に出演者やスタッフの間でそういう共通の空気を持てたのはすごく良かったですね。僕は、戸田忍を演じた郭(智博)クンといっしょに歩く時間が長かったんですが、かなりいろんな話ができました。親友どうしの役ですから、いい機会を持てたと思います。彼も僕と同じで人見知りなんですけど、撮影中は映画の中の関係以上に、二人でよくしゃべっていました。

── 長澤監督の印象は?

石田 とても優しい方だし、本番では演技について何も言われませんでした。けっこういろいろ言われる監督との仕事が多かったんで、新鮮な体験でした。

── ラスト近く、校門前の坂道で貴子に笑いかけるシーンがいいですね。

石田 お互い、初めて気持ちが通じ合えたシーンですよね。それまでは話もしないし、僕が“近寄れないオーラ”をビンビンに出している。それを、友達が二人だけになる場をつくってくれたわけで、そこで僕はどんな表情で演技したらいいのか、すごく悩みました。あのシーンまで僕が笑っているシーンはないはずです。それくらい表情については意識しましたね。その前に話をするところも、開き直って話すのか、迷いに迷って何か言うのか……いろいろ考えました。

── 出来上がった作品を見て、どう思いましたか。

石田 自分の出た映画って、なかなか客観的に見られないですね。どうしても仕事として見てしまいます。今は他の邦画も同世代の人が出ていると「どんな演技をしているんだろう」という目で見てしまって、純粋に楽しめない。それが困ります(笑)。だから、洋画のほうが見るだけなら楽しいですね。

── 好きな役者、好きな映画は?

石田 邦画だと『パッチギ!』なんていいですね。役者ならエドワード・ノートン。『真実の行方』や『25時』で見せる、彼の目の演技が好きです。ほかには『セブン』や『ライフ・オブ・デビッド・ゲイル』のケヴィン・スペーシー。独特な存在感があって、しかも役を楽しんで演じているところが素晴らしいですね。

── 最後に『夜のピクニック』のDVDを見る人へのメッセージを。

石田 素晴らしい青春映画ですから、とにかくここに描かれている青春を感じてください。青春っていいよな、自分にもこんな時代があったよな……見た人、一人ひとりにそんな何かを思い、何かを感じてほしいですね。

profile 石田卓也(いしだ たくや) 2005年、TBS開局50周年スペシャルドラマ『青春の門−筑豊篇−』などで印象深い役柄をこなし、映画『蝉しぐれ』でキネマ旬報ベストテン・日本映画新人男優賞を受賞。07年は『キトキト!』『リアル鬼ごっこ』の公開が控える。1987年生まれ。