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『トータルリコール』『氷の微笑』『インビジブル』などハリウッドで娯楽作を監督してきた鬼才ポール・バーホーベンが祖国オランダに戻って完成させた最新作だ。舞台は1944年、ナチス占領下のオランダ。何者かの裏切りで家族をナチスに殺されたヒロインが、美貌と歌声を武器にドイツ軍諜報部内に潜入。彼女の仲間を救出しようとする行動がヒッチコックを思わせるサスペンスタッチで描かれる。冒頭のリアルな爆撃シーンからバーホーベンらしさは全開。暴力とエロスが随所に散りばめられている。加えて、ヒロインを演じたカリス・ファン・ハウテンの美しさと存在感。オランダの暗部を描き、しかも反戦という重い主題を抱えながら濃厚な娯楽映画に仕上がっている。

「こんな才能ある女優に出会ったのは初めてだ」 ポール・バーホーベン監督熱く語る

日本における『ブラックブック』公開を前に監督のポール・バーホーベンが7年ぶりに来日し、集まった映画ジャーナリストらに熱く語った。

バーホーベンの口から最初に漏れたのは主演女優カリス・ファン・ハウテンについて。これまで『氷の微笑』のシャロン・ストーンら数々の女優をスターダムに押し上げた彼が、手放しで大絶賛する。「ハリウッドでもさまざまな女優と仕事してきたが、これほど美しく、これほど才能のある女優は初めて。『ブラックブック』は彼女の存在なしには成立し得ない映画だよ」。

本作は彼にとって23年ぶりの故国オランダでの映画製作。久しぶりにバーホーベンらしさを発揮した作品としてヨーロッパ各国で話題となり、オランダでは空前の大ヒットを記録した。「アメリカには資金力はあるが、クリエイターの自由は少ない。最近はすっかり私自身、スタジオの奴隷になってしまっていた。たとえ資金繰りに苦労しようが、自分の原点に帰り、映画人としての魂を救うためにもこの映画をつくる必要があったんだ。今回は理不尽な圧力や規制もなく、完全に自分が作品をコントロールできた自信がある。これは第2次大戦中の史実に基づいたスリラー。しかも、それは現代に通じる物語でもある」。まさにバーホーベンの自信作にして最高傑作が誕生した。

■ 2006年/オランダ・ドイツ・イギリス・ベルギー合作/144分/スコープサイズ

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