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悲夢

日韓を代表する才能が集結した奇跡のコラボ作品、男女が切ない夢に狂おしいほど翻弄されるラブストリー「悲夢」。主演には、日本国内はもとより韓国でも人気の俳優、オダギリ ジョー。監督を務めるのは鬼才キム・ギドク。「サマリア」(ベルリン映画祭り銀熊賞受賞)、「うつせみ」(ヴェネチア映画祭銀獅子賞受賞)といった作品も記憶に新しい、世界が最も注目する監督の一人である。

苦しい愛と夢にひきさかれる男、ジンを多彩な表情で演じきった彼について、ギドクは「美しい人であり、すばらしい俳優であり、親友であり、羨望の的であり、なおかつ信じられる人であり、愛することを知っている人である。そして、第一印象と変わらず、孤独を愛する人である」と評した。共演者には「私たちの幸せな時間」「英語完全征服」などで、その美しさと実力を発揮したイ・ナヨン。「俳優としてオダギリさんからは学ぶ点がとても多かった」と語った彼女は、オダギリ扮するジンの夢とともに破滅の道へと進んでゆく夢遊病の女性・ランとして凛々しい演技を見せた。

「愛こそが人生」という強い信念で、過去の作品においても、美しくそして残酷な愛という真実を映画に映し出してきたキム・ギドク監督が、オダギリ ジョーという名実共に最高の一人を通して生み出した新たな愛の物語。その一連の悲劇は、苦しく、そして、痛々しいものであるがゆえに鮮烈で官能的なものに描かれる。又、伝統的な家屋や寺院などの風景は、より幻想的、神秘的な空間に投影される。激しく愛を交わす男女が愛によりすべてを失うこの物語は、オダギリ ジョーが挑む本格的ラブストーリーであり、キム・ギドクが描く最高の悲恋劇である。

このストーリーの発起点は、キム・ギドクが見た夢、そして、その後に結びついた「胡蝶の夢」である。その夢とは、彼が車の助手席に乗り、事故に遭った夢のあとに、自分が原因だと思い込んでしまう違和感が残り続けたこと、それが、故事成語である「胡蝶の夢」(蝶となった荘子が、夢から覚めたあとも夢と現実がはっきりしなかったことから成る言葉)と重なり、この独創的な話が生まれたのである。夢と現実、生と死という境界線の中で多くのテーマを提示し、「愛はあらゆる境界を超える」という究極の答えを導き出している。オダギリ ジョーとイ・ナヨンの二人が紡ぎ出す物語の衝撃的結末が、夢と現実が融合する美しい瞬間を映し出す。

深夜、別れた恋人を追って車を走らせていたジン(オダギリ ジョー)は、突然飛び出してきた車と事故にあう。怪我を負った運転手を横目に、ジンは恋人を追いかけて再び車を走らせる。しかし、突然、酔っぱらいの男が飛び出してきて、慌ててハンドルを切る。そして、夢から覚めたのだった。現実に戻っても、それがあまりにもはっきりしていることに違和感を感じるジン。聞こえてきたサイレンの音を追いかけていくと、そこには夢で見た事故が起きていた。身柄を拘束されたのは、夢遊病であったラン(イ・ナヨン)。彼女は、ジンが見た夢へ呼応するかのように、現実にその事故をおこしていたのだ。事故は自分の責任だと、ランに謝るジン。しかし、ランはその言葉が理解できず、なぜなのかと問いつめる。

再び別れた恋人の夢を見たジンは、ふとランのことを思い出し彼女のもとへ向かう。出会った彼女の顔には、彼が見た夢と同じように、殴打された痕が残っていた。ジンが捨てられた恋人を忘れられないのとは正反対に、ランは昔の恋人をひどく嫌っていた。夢の中で別れた恋人に出会い幸せな気持ちになるジン、憎む男と不幸な時間をすごすラン。二人は、ある精神科医に「愛し合えば夢が消えて夢遊病もなおる、さもなければ不幸が訪れる」と告げられる。

お互いが眠らないよう相手を監視する二人であったが、襲いかかる睡魔に負け、次第に夢はエスカレートする。別れた恋人の体を求める夢を見たジンに反応し、憎んでいる恋人に抱かれるラン。「どうしてそんな夢をみるの?」と、ジンを責めるランであったが、ジンの恋人に対する切実な思いに魅かれ、二人はやがて愛情で結ばれてゆく。しかし、仲睦まじく過ごす二人に、突然の夢が邪魔をする。ジンは、別れた恋人の情事に憤り、相手の男を撲殺する夢を見てしまう。目を覚まして急いで現場でかけつけるが、ランは血まみれの姿になったかつての恋人のそばにぐったりと横たわっていたのだった。

逮捕され精神病等に入れられたランに、二度と夢を見ないと誓ったジン。彼は眠らないよう必死に耐えた。「死んだら夢も無くなる」と自らの決意をランに伝えると、ランは「愛してる」と初めて自分の思いを伝えた。遂に心から結ばれた二人。その最後の瞬間、ある奇跡がおこる。

1976年岡山出身。
2003年、第56回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品作「アカルイミライ」(黒澤清監督)、「あずみ」(北村龍平監督)などの作品に出演。2004年「血と骨」(崔洋一監督)で、日本アカデミー賞最優秀助演男優賞など数多くの賞を受賞。2005年「パッチギ!」(井筒和幸監督)、「オペレッタ狸御殿」(鈴木清順監督)、「メゾン・ド・ヒミコ」(犬童一心監督)などに続々と出演。第79回キネマ旬報ベストテン日本映画主演男優賞を受賞。2006年、第56回ベルリン国際映画祭フォーラム部門出品「ビッグ・リバー」(船橋淳監督)、「パビリオン山椒魚」(冨永昌敬監督)が公開。2007年、第63回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門出品「蟲師」(大友克洋監督)、第31回日本アカデミー賞作品賞ほか5冠を獲得した「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」(松岡錠司監督)、「転々」(三木聡監督)、2008年「たみおのしあわせ」(岩松了監督)が公開。TVでは人気ドラマ「時効警察」「帰ってきた時効警察」(ANB系)に出演。最新作は、「Plastic City」(ユー・リクウァイ監督)、「狼災記」(田荘荘監督)。

1979年ソウル出身。
1998年に化粧品のCMでデビュー。清楚なイメージがネット世代の韓国の若者に支持を受け、人気が急上昇する。TV番組「裸足で走れ」や、「クイーン」(1999)、「魔法の城」(1999)などのドラマにも出演。「愛の群像」(2001)では、ペ・ヨンジュンの妹役として出演。1999年には、日本映画「英二」(黒土三男監督)でヒロイン役に。「HEAVEN ヘブン」(2000)で香港俳優レオン・ライとの共演を果たす等、母国以外での活動も多い。その他、主な出演作には「フー・アー・ユー?」(2002)、「英語完全征服」(2005)、「私たちの幸せな時間」(2007)など。「小さな恋のステップ」(2006)では、青龍映画賞主演女優賞を受賞した。

ソウル芸術大学を卒業し、劇団チャイムに所属。舞台女優としてキャリアをスタート後、「コースト・ガード」(2005)のオーディションで、キム・ギドク監督の目にとまり、ヒロイン、ミヨン役に抜擢される。恋人を殺され、精神を崩壊させてゆく女を演じきった。又、キム・ギドク監督作では「春夏秋冬そして春」(2004)、「ブレス」(2008)と出演し、本作が4本目のキム・ギドク監督作品となる。

1981年生まれ。
芸術に携わる家庭で育ち、ミュージカルの演技を始めるようになる。2001年、MBC(文化放送)公募採用に合格。本格的な演技を始め、2005年には「私の生涯で最も美しい一週間」(ミン・ギュドン監督)で、第13回春史羅雲杢映画祭の新人男優賞受賞。主な出演作品には、テレビドラマ「ロマンス」(2002)、「雪の女王」(2007)、映画「まわし蹴り」(2006)、「愛しのサガジ」(2006)、「放課後の屋上」、「イブの誘惑−良い妻−」など。

1975年生まれ。
高校生の時に、ユン・ソナらを輩出した春香選抜大会(ミス春香)入賞。その後、30年以上、韓国映画界で活躍し、現在ミョンジ大演劇映像学科教授、演劇映像学科長として韓国文化産業振興委員会委員、映画振興委員会委員を兼ねている。代表作はペ・チャンホ監督作品、アン・ソンギ共演の「ファン・ジニ(黄真伊)」、「ディープブルー・ナイト」など。5年ぶりとなる映画出演で、初のキム・ギドク監督作品へ参加。

1960年、韓国ポンファ出身。
1990年、絵画の勉強のためにフランスへ渡る。帰国後に映画制作をはじめ、1996年「鰐」で監督デビュー。「魚と寝る女」(2001)では、第57回ヴェネチア国際映画祭に出品された際、失神者が出る程の衝撃的作品として話題になる。

2004年「サマリア」でベルリン映画祭銀熊賞を受賞、「うつせみ」(2006)でヴェネチア映画祭銀獅子賞を同年中に受賞。

制作する映画のほとんどが国際映画祭に出品され、数多くの賞を受賞し、世界三大映画祭制覇に最も近い監督との呼び声が高い。その他の代表作は「悪い男」(2004)、「春夏秋冬そして春」(2004)、「弓」(2006)、「ブレス」(2008)など。

人はだれもが美しい愛を望みます。はじめは、心が騒ぎ幸せなものです。しかし、時の経過とともに、人は嫉妬と憎悪で傷つけ合うようになり、その記憶に苦しめられることになります。私はそういった「愛」に関する物語を、“夢”と“夢遊病”をテーマに作りたかったのです。

この映画は、夢の中で“過去”“現在”“未来”が交差します。そして、愛するということは、他人の記憶ではなく、自分の記憶と闘うことだということを表現しています。愛する人たちすべてが、そんな記憶の夢を見ながら生きていくことを、私はこの映画を通じて言いたかったのです。

オダギリ ジョーはとてもすばらしい俳優でした。私の映画がどのようなものなのか、彼は既に知っていて、そのことにより私は撮影中に安堵の気持ちを覚えました。最初は、彼とイ・ナヨンがお互いの国の言葉をしゃべるなんておかしいのではないかと思いました。しかし、大事なのは言葉ではありません。相手の気持ちを感じ、心を込めて会話をすれば、十分に分かり合える。撮影をしながら、私はそのことに気づきました。

印象に残っているのはこんなエピソードです。警察署のシーンで、警察官役の俳優が荒々しくオダギリさんのことを扱っていました。たとえ映画の撮影であっても、感情的になってぶつかり合い、気分を害することもあります。見ていて、私は彼が怒り出さないか気を揉みました。それで私は彼に「大丈夫?」と尋ね、警察官役の俳優に「もう少し抑えた演技をしてほしい」と伝えたところ、オダギリさんは「そのままの演技で問題ない」と言ってくれたのです。心配は無用でした。

病院のシーンでは、死の瞬間を撮影する際に危うく大惨事が起きそうになりました。衝撃的な出来事でした。その日の撮影が終わったあとも、私はひとりセットに残り、うつむいて泣いていたほどです。その後、撮影は続行されましたが、このエピソードのために「悲夢」は私にとってより悲しい映画になりました。

「悲夢」は私たちにとって必要不可欠な映画です。傷つきながら愛を知った人、いまだに昔の恋人が忘れられない人、二度と会いたくない人物がいる人、そしてまだ愛を知らずにいる人。すべての人が必ず一度は観なければならない映画だと思っています。愛は美しいものではありません。苦痛を経験することが愛なのです。「悲夢」は、ポップコーンとともに映画を楽しむような人たちには、敬遠される映画かもしれません。しかし、愛の苦しみをいまだに忘れられないような人には、この“夢の旅”を通じて、“昔の恋人に会う”という神秘的で幸福な体験が訪れるはずです。

私は大衆が満足する映画を作るのではなく、私が人生の中で感じたことを映画にしたいと思っています。それを観て、共感してもらえる人たちに会いたいのです。それがたとえひとりでも100人でも、数はまったく重要ではありません。多くの人が映画は娯楽だと考えていますが、私にとって映画とは過去の苦痛と和解するための手段です。また、未来へと向かう門でもあるのです。したがって、私は映画を作ることで満足したり成功を収めたりすることが重要だとは思っていません。どこかえだれかが私の映画を観て、夢をみてくれればうれしいと思っています。

韓国で、日本で、ヨーロッパで、そしてアフリカをはじめとする世界各国で、私の映画を観て、“同じ世代”“同じ悲しみ”“同じ幸福”“同じ快感”を共有できれば私は幸せです。

「ふたりはひとりなのです。白と黒は同じ色なのです。愛する人はあなたの鏡なのです」

韓国でもっとも人気のある日本人俳優オダギリ ジョーと、韓国が誇る鬼才キム・ギドクの橋渡しを行ったのは、プロデューサーであるチョ・ソンギュである。彼は、前作「ブレス」で台湾の人気俳優チャン・チェンをキャストした経験を活かし、オダギリとのコラボを切望していた。 オダギリは、キム・ギドク監督が求める俳優として完璧であった。「彼は人間を、人生をよく理解している俳優だ。だから、俳優として、監督として、これからの彼にもとても期待している」とギドクは語る。スタッフとは英語でコミュニケーションを取り、韓国語を学びながら作品への理解を深めるオダギリの姿を見た共演者のイ・ナヨンは、その姿勢にとても驚き、言葉の壁を感じることなく演技をこなす彼の役柄に非常に共鳴したという。

多くの人が心配した言葉の壁という問題に、監督は新たなアプローチを行った。つまり、オダギリは日本語を、イ・ナヨンは韓国語を、それぞれの母国語で言葉を交わすと言う手法であった。映画の観客は、言葉の違う二人のやりとりに戸惑いつつも、次第に心のやりとりを自然な流れとしてとらえてゆく。“愛”を描いている本作では、感情表現は絶対的に必要なものであり、母国語でその感情表現をするということは最も心に響くやり方なのである。ジンが劇中でランに思いをぶつけるシーンでは、オダギリの言葉が日本語でぶつけられることにより、苦しさや切なさといった表現がもっとも効果的なものとして表現されている。

いままでにも“愛”を描き続けてきたキム・ギドくは、愛にこだわる理由をこう語る「人は他人によって人生を変えられてしまう。特に、愛する人によって人生を変えられることは多い。その変化は、ときに新しい何かをもたらすが、ときにすべてを奪い去っていく。そうして愛は人とは何であるかを教えてくれる。私にとって、愛とは“嫉妬”“憎悪”“憐れみ”“挫折”“悲しみ”、そして“幸福”である。つまり、愛こそが人生なのだ」。
劇中、4人の男女が入り交じる草原のシーンは、愛というものが自分自身との闘いであることを、象徴的に示している。又、「胡蝶の夢」をモチーフとする本作は、ラストシーンにおいて、愛により、幸せと苦しみ、夢と現実の境界線を溶かし、それらの相反する概念が実は一体である、ということを美しく描き出している。
これは、ギドク監督自身が映画を通じて描きたかった回答である。「私自身もいま、幸せと同時に不幸である。私にとって、そんな人生はとても辛いものだ。しかし、白と黒は同じ色なのである」。

品番:BBBJ-7367
発売日:2009.8.28 発売予定
スペック:カラー / 93分 / 片面2層 / 1枚組
価格:4,700 円(税抜)
画面:16:9アメリカンビスタ
字幕:1. 日本語字幕
音声:1. 韓国語ドルビーデジタル2.0chステレオ
公開日:2009年2月 公開 (PG12)
製作国:韓国
製作年:2008 年
© 2008 KIM KI DUK FILM All Rights Reserved

【特典】
・キム・ギドク監督×オダギリ ジョー インタビューin日本
・オダギリ ジョー&イ・ナヨン メイキング&インタビューin韓国
・初日舞台挨拶(オダギリ ジョー、イ・ナヨン)
・監督来日記者会見(キム・ギドク、オダギリ ジョー)
・オリジナルトレーラー、日本版トレーラー

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