——『余命1ヶ月の花嫁』は実在の方がモデルとなっていますが、その点での重圧のようなものはありましたか。
榮倉 出演のお話をいただいた段階でドキュメンタリーを観て、映画の原作となった本を読ませていただきました。そこで感じたのは長島千恵さんの伝えたかった想いやメッセージの大きさです。私がそうした想いを、これから映画を観る日本中の人たちに本当に伝えられるのだろうかという不安はありました。でも、現場で(廣木隆一)監督から「映画は一つの独立した作品だから、台本を読んで自分が感じたことを素直に表現したらいい」とおっしゃっていただき、少し肩の力が抜けましたね。確かに実在の方だからというプレッシャーはありましたが、マネをしようとか、すべて千恵さんと同じように感じなくちゃいけないという気持ちはありませんでした。
——ご自身にとって一番印象深いシーンを教えてください。
榮倉 どれか一つに絞るのは難しいのですが、病室でのシーンは印象深いですね。
それと撮影がたいへんだったという意味ではウェディングのシーンが心に残っています。
——なぜ、たいへんだったのですか。
榮倉 監督からは常に「もっと自然に」「もっと普通に」ということを求められ、いわゆる“お芝居”をしてしまうとOKが出ませんでした。でも緊張していると、何が自然で、何が普通かがわからなくなってしまうんですね。台詞を口にしても、その言葉が自分の心に届かないということもありました。そうなると、ますます焦り、自分が見えなくなるという悪循環に陥ってしまうんです。ウェディングのシーンの撮影がまさにそういう状態で、そんな私を支えていただいた監督やスタッフ、共演者の方々には感謝しています。
——撮影は順撮りで行われたそうですね。そのせいなのか、恋人役の瑛太さんとの関係がとても自然なものに感じられました。
榮倉 瑛太クンとは初めての共演でした。だから最初はお互いを知ろうという気持ちが強く、現場でも「好きな食べ物は何?」とか、「好きな映画は?」とか、たわいない会話をたくさんしました(笑)。おかげで少しずつ距離も縮まっていき、映画のなかでも自然に絆が深まっていく感じが表現できたのかもしれません。その意味でも順撮りは良かったのだと思います。
——父親役の柄本明さんとの関係も、本当の親子のように自然に見えました。
榮倉 柄本さんは現場でよく笑わせてくれました(笑)。私の緊張を解きほぐし、リラックスさせていただいたという感じです。そんな柄本さんに私もすっかり安心し、頼り切っていましたから、それが映画のなかの親子関係にいい形で反映されたのかもしれません。
——『余命1ヶ月の花嫁』は榮倉さんにとってどんな作品になりましたか。
そして、この映画を通して伝えたかったことは何ですか。
榮倉 まだそれほど多くの映画に出たわけではありませんが、今思い出しても切ない気持ちになる作品ですね。ふとした時に、思い出すことがあります。もともとこれは千恵さんの想いを伝える作品ですし、私としては、例えば「明日があるって奇跡なんだよ」といった素晴らしいメッセージを
一人でも多くの方に届けられたらと思っていました。しかも、この作品はラブストーリーであるだけでなく、親子や友達など、さまざまな人間関係が織りなす愛情が描かれています。そうした愛情の形を観る人それぞれに感じていただいきたいですね。
——DVD化にあたり、あらためてメッセージをお願いします。
榮倉 私自身、今も自分に迷いが生じた時、この映画に描かれている言葉や気持ちに助けられることがあります。なんだか、そっと背中を押してくれるような作品ですね。だから、こうしてDVDとして、いつでも観られるようになったことをすごく嬉しく思います。皆さんにもいろんなことを感じていただきたいし、『余命1ヶ月の花嫁』がたくさんの人にとって忘れることのできない、大切な作品になったらいいなと思います。
榮倉奈々さんよりメッセージ