『ウォーターボーイズ』(01)で映画初主演を果たして以来、数多くの話題の映画やドラマで主演を飾り、人気、実力ともに他と一線を画す存在として最先端を走リ続けてきた俳優・妻夫木聡。2010年公開の『悪人』では、それまでとは違う文字通り全身全霊の演技で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞などに輝いたのは記憶に新しい。さらに、2011年公開された『マイ・バック・ページ』でも松山ケンイチ相手に苦悩する主人公を好演し、観る者の心を大きく揺さぶった。そんな、俳優としてもひとりの人間としても大きく成長した彼が、現代のアクション・エンターテイメントに初めて挑戦したのが本作、『スマグラー おまえの未来を運べ』だ。
この作品で妻夫木が演じた主人公は25歳のフリーター、砧涼介。理想ばかり高く、何の努力もしないまま、役者になる夢を自ら閉ざした彼は、気がつけば多額の借金を背負わされ、その返済のためにいまは秘密の運送屋(スマグラー)の一員になっていた。その運送屋の仕事は、決して陽の光には晒すことのできない、とんでもなくヤバい“ブツ”の運搬と処理を極秘に行うもの。仕事仲間も依頼主も裏社会に生きる筋金入りのプロばかりで、いずれも強烈な個性を放っていて怖そうだ。当然、失敗は許されない。にも関わらず、砧はその人のよさが災いして、人生最悪の失敗をしてしまう。もはや死を覚悟するしかないのか?
だが、生と死をリアルに感じるその絶体絶命の大ピンチの中、これまで真剣に生きることを放棄してきた彼が、初めて自分で決意し、一世一代の大芝居に打って出る。果たしてその運命は……!?
何者でもない男が何者かになる――
その瞬間の体現に挑戦した妻夫木が、クライマックスで炸裂させる凄まじい形相とほかでは見られないキレのあるアクションは圧巻!最高の興奮とカタルシスを味わえるはずだ。
さらに砧を取り巻く個性的なキャラクターを、それぞれの役柄にピッタリの豪華にして異色のキャストが演じているのも見逃せない。強面で一見怖そうに見えて、実は情に厚いスマグラーのリーダー、ジョーに永瀬正敏。裏社会の便利屋女社長・山岡には松雪泰子。裏組織・田沼組組長の若妻・ちはるを満島ひかりが演じている。また伝説の殺し屋・背骨役で華麗なアクションシーンを披露した安藤政信。加えて、小日向文世、髙嶋政宏、阿部力、我修院達也、テイ龍進、清川均といった実力派俳優が集結し、島田洋八、寺島進、森下能幸、大杉 、松田翔太らが思いがけない役で出演。それぞれの思惑と想いをぶつけ合う役柄と同様に演技バトルを繰り広げ、濃密かつ緊張感のある映画に絶妙な笑いとより一層の輝きを与えている。
原作は、「闇金ウシジマくん」で2011年の小学館漫画賞を受賞し、いま最も注目を集めている真鍋昌平の同名コミック。デビュー以来、社会の底辺に生きる人々の苦悩と喘ぎをリアルな暴力と繊細な心理描写で描き、多くのファンを獲得してきた真鍋だが、初期の代表作「スマグラー」(00)はその中でも10年後の現代をまんまと予見した特に注目すべき作品。コミックが描かれたころにはまだ他人事だった就職難、リストラ、フリーター、ネットカフェ難民が現実のものになったいま、この作品が映画化される意味は大きい。主人公・砧の苦悩と彼が直面する試練を描いた本作のメッセージ、コミックから取り入れられたキレのある台詞の数々が混迷の現代を生きる多くの人々の胸に強く響き、大きな勇気と希望を与えるはずだ。
監督は『茶の味』(04)でカンヌ国際映画祭監督週間のオープニングを飾り、クエンティン・タランティーノ監督『キル・ビルVol.1』(03)のアニメパートを担当するなど、目覚しい活躍を続けている稀代の映像クリエイター、石井克人。妻夫木も「長年一緒に仕事をしたいと思っていた」と語る同監督が、時代の要請とともに、99年のデビュー作『鮫肌男と桃尻女』の鮮烈な世界観を21世紀のスタイルとテクノロジーでバージョン・アップさせて展開させる。こだわり抜かれた衣裳と美術、圧倒的な世界観はそのままに、本作ではハイスピードカメラ“ファントム”とCGを駆使して初めて本格的なアクションに挑戦しているのが大きな話題。石井監督ならではのヴィジュアル的にも刺激的なバトル・シーンに息をのむ。
さらにマーティン・スコセッシ監督『タクシードライバー』(76)を彷彿させるオープニングを始め、名作映画のオマージュが全編を散りばめられ、テレビドラマとは違う映画的なシズル感やはったりをきかせた石井監督の遊び心が随所に見られるのも映画ファンには嬉しい。
また、主題歌「愛をくらえ」をSuperflyが書き下ろし、本作の感動と余韻をより強固なものに。
身につまされるようなストーリーを力強い筆致とコメディの要素、魅惑の競演で笑い飛ばし、観る者を元気にする新時代のアクション・エンターテイメントがついにブルーレイ&DVDで登場。
1999年、世紀末。25歳のフリーター、砧涼介(妻夫木聡)は、工業地帯を走るトラックの車内で、運転をする仏頂面で寡黙なジョー(永瀬正敏)と彼をサポートするお調子者のジジイ(我修院達也)の横に座り、ほんの1ヶ月前のことを回想していた。
砧は『野獣死すべし』(80)の松田優作に憧れ、役者を目指して学生演劇の世界に飛び込んだが、自分の理想とかけ離れた毎日の稽古に嫌気がさし、所属していた劇団を退団。パチスロに明け暮れる自堕落な生活を送っていた。その日もパチスロの負けがこんでいた彼は、張(阿部力)が仕切る中国人グループの儲け話に思わず乗ったのだが、ダマされて、逆に300万円もの借金を背負ってしまう。
その莫大な借金を返済するため、張に連れられて裏社会の便利屋の仕事をしている山岡(松雪泰子)を訪ね、彼女の紹介で、日給5万円の運送屋=スマグラーの仕事をすることになったのだ。
一方、あるホテルの一室。裏組織・田沼組の取引現場に、チャイニーズマフィア最強にして伝説の二人組の殺し屋、背骨(安藤政信)と内臓(テイ龍進)がやってくる。彼らの目的は、組長・田沼春治(島田洋八)の首。圧倒的な強さと速さで組員を葬り去った二人は、難なく田沼組のトップを追い詰めた。
やがてスマグラーたちのトラックはホテルの地下駐車場に入って停車した。見ると隅に7つのリネンカートが置いてある。砧はジジイとカートの1台をトラックの荷台に積み上げるが、その際に、ファスナーが壊れて半開きになったところから中身が転がり出してきてギョッとする。それは田沼組の組長・田沼春治の死体だった。パニックになる砧に、運送を仕切るジョーは「借金まみれのバカに日当5万円のまともな仕事があるか?」と言い放ち、ジジイも「そういう世界に片足を突っ込んでんだよ」と吐き捨てる。
死体を積んだトラックが山あいの道を走っていくが、不当投棄のゴミを避けたために車が路肩に乗り上げて止まってしまう。すると運が悪いことに前方からパトカーがきて、若い警官(松田翔太)が降りて来る。パトカーの車内で同乗していた年配の警官(大杉 )の取り調べを受けるジョー。するとそのとき、ジジイが締め直していたロープが切れ、組長の死体の入ったカートが荷台下の砧の方へ落ちてきた。
万事休す!重さに必死に支える砧。もはやその力も限界に達しかけていたが、砧はこれまでの人生最大の踏ん張りで必死に持ちこたえた!
だが、一難去ってまた一難。カートの中身を不審に思った警官が「中を見せてもらってもいいかな」と言ってきたのだ。これに対して、砧が「あまり触んない方がいいっすよ。コレ全部伝染病患者が使用していたモノなんです」と機転を利かせる。警官たちは慌てて退散。砧のとっさの「演技」で今度こそ最悪の事態を免れた一行。山奥の廃工場に辿り着くとジョーとジジイは、焼却炉に死体や血のついたシーツを事務的に入れて燃やしていくのだった。
田沼組は組長の首が届けられて騒然。怒り狂った幹部の西尾(小日向文世)と河島(髙嶋政宏)、高橋(清川均)の三人衆は山岡の元を訪ね、「3日以内にオヤジを殺ったヤツを探し出せ」と脅しをかける。
ほどなくしてジョーのもとに、山岡から新たな依頼が舞い込むが、それは、想像を絶する代物だった・・・。
品番:BIXJ-0052
発売日:2012/04/27
価格:5,800円(税抜)
画面:16:9ビスタサイズ[1080p Hi-Def]
音声:日本語ドルビーTrueHD5.1chサラウンド
公開日:2011年10月公開
製作国:日本
製作年:2011
【初回生産限定特典】(予定)
○豪華アウターケース&デジパック仕様
○ブックレット
【映像・音声特典】(予定)
〔本編DISC(Blu-ray)〕
○監督と美術・都築雄二によるコメンタリー(音声)
○特報・予告編・TVスポット集
〔特典DISC(DVD)〕
○メイキング
○キャストインタビュー
○完成披露試写会&初日舞台挨拶
品番:BIBJ-8140
発売日:2012/04/27
価格:4,800円(税抜)
画面:16:9LBビスタサイズ
音声:日本語ドルビーデジタル5.1chサラウンド
公開日:2011年10月公開
製作国:日本
製作年:2011
【初回生産限定特典】(予定)
○豪華アウターケース&デジパック仕様
○ブックレット
【映像・音声特典】(予定)
〔本編DISC〕
○監督と美術・都築雄二によるコメンタリー(音声)
○特報・予告編・TVスポット集
〔特典DISC〕
○メイキング
○キャストインタビュー
○完成披露試写会&初日舞台挨拶
品番:BIBJ-8141
発売日:2012/04/27
価格:3,800円(税抜)
画面:16:9LBビスタサイズ
音声:日本語ドルビーデジタル5.1chサラウンド
公開日:2011年10月公開
製作国:日本
製作年:2011
【映像・音声特典】(予定)
○監督と美術・都築雄二によるコメンタリー(音声)
○特報・予告編・TVスポット集