その人類がかつて経験したことのない異変は、何の前触れもなく世界中を揺るがした。“SOS”と名付けられた原因不明の感染症が爆発的に拡散し、あらゆる人々の嗅覚を奪い去ってしまったのだ。さらにその奇病は猛然たるスピードで新たなステージへと突き進み、感染者たちの味覚や聴覚を失わせていく。それはいかなる科学者にも、政治家にも、宗教家にも止めようのない人類存亡の危機だった。
シェフのマイケルと科学者スーザンは、そんな恐るべき極限状況のさなかにめぐり合った。くしくも謎の病に冒されたまさにその瞬間、彼らは運命的な恋に落ちた。ひとつ、またひとつと五感が消えゆくなか、確実に迫り来る世界の終わりに身をすくませるふたりは、いったい何を目の当たりにし、何を感じとるのだろうか……。
地球温暖化、テロ、ウィルス、金融恐慌。これら21世紀を覆うさまざまな不安要因を反映してか、近年数多くの終末映画が生み出されている。頼もしいヒーローたちが地球を襲う小惑星や天変地異に敢然と立ち向かっていった20世紀末のハリウッド大作は、今や遠い昔のおとぎ話のよう。2000年代に突入してから世に送り出された『28日後...』(02)、『トゥモロー・ワールド』(06)、『ブラインドネス』(08)、『ザ・ロード』(09)といった終末映画は、よりリアリスティックに、より真摯にテーマにアプローチし、生々しいスリルや問題提起をはらむ傾向にある。
アメリカ国内外の個性的なインディペンデント映画が集うサンダンス映画祭に出品され、その斬新な映像世界が観る者を震撼させた『パーフェクト・センス』は、上記の非ハリウッド系終末映画の系譜に新たなモニュメントを打ち立てる衝撃作だ。古来から人類が備えた感覚機能たる嗅覚、味覚、聴覚、視覚、触覚の五感を、ひとつずつ喪失させていく未知の病をめぐる戦慄の物語。スコットランド・グラスゴー在住のひと組の男女を主人公にしたこの映画は、美しき恋人たちの日常が突発的な悲しみ、恐怖、憎悪にのみ込まれていく過程を圧倒的な緊迫感をこめて映し出し、観客の想像力を絶え間なく刺激しながら世界終焉の一大パニックを体感させていく。
沖縄の田舎町・本部町で小さな弁当屋「あじさい弁当」を営む大城陽。陽は、弁当を買いに来る高校生たちが放課後にバンドの練習をする場所がないことを知り、弁当屋のガレージをスタジオにすることに。陽には、音楽が好きな彼らを支えてやりたいと思う、ある理由があった。借金までして手作りしたスタジオを無料で解放し、ことあるごとに本気で自分たちを叱ってくれる陽を、高校生たちはいつしか“ニイニイ”と呼んで慕うようになる。彼らは、音楽以上に生きていくうえで大切なことを陽から学びながら、大切なフェスティバルに向けて練習に熱中するのだが、そんなある日、陽が病に倒れて……。
「昔は色んな人が助けてくれた。今の若者にはそれがない。そういうのをほっときたくない」。見知らぬ高校生のために借金までしてスタジオを作り、実の親以上に愛をもって彼らを叱り、励ます…そんな陽の行動は、すべてこの信念から始まっている。誰もが共感できるシンプルな言葉だが、今実際にそれを行動に移すことができる“大人”はどれだけいるのだろう?
若者を叱れる大人が少なく、若者が狭い世界に閉じこもりがちだと言われる社会。陽は、どんな若者にもあきらめずに本気でぶつかれば必ず気持ちは伝わると思い、夢を持てない若者たちに未来を託そうと「あきらめるな」と訴え続けた。若者たちはそんな彼の想いに動かされて心を開き、「あきらめなければ夢は叶う」と信じ始める。そんな彼らの姿を目の当たりにするとき、何かをあきらめずに信じることの大切さを改めて実感し、自分も誰かのために何かができるのではないか、とささやかな希望を抱かずにはいられない。
このまるでファンタジーのような真実の物語に、現実の確かな肌触りを与えるため、本作、「あじさい音楽村」の現在のかたちである有限会社あじさいミュージックと本部町の全面協力を得て、実際の「あじさい弁当」や「あじさい音楽村」、そして地元である本部町内でオールロケを行った。
本作で初メガホンを執るのは、『眉山』(06)『ゼロの焦点』(09)など犬童一心監督作品で助監督として着実に経験を積んできた熊澤誓人。脚本は、数々のヒットドラマを手掛け「結婚できない男」(06/CX)「白い春」(09/CX)など阿部寛とのタッグ作品も多い尾崎将也と、新星・うえのきみこ。主人公に背中を押されて成長する高校生バンド「ハイドランジア」の紅一点・アヤには、『最後の忠臣蔵』(10)で昨年数多くの映画新人賞を受賞とするなど、躍進目覚ましい若手女優・桜庭ななみ。アヤが率いるハイドランジアのメンバーには、2011年度舞台「身毒丸」の主演に大抜擢された大型新人・矢野聖人、『ごくせんTHE MOVIE』(09)『劇場版 怪談レストラン』(10)などに出演する森崎ウィン、09年アミューズ全国オーディショングランプリに輝いた野村周平ら、フレッシュな魅力に溢れる若手俳優が顔を揃えた。さらに、吉田妙子、ヒガリノ、きゃんひとみなど、沖縄出身の俳優陣が鮮やかな彩りを添える。
そして、主題歌の「ありがとう」を手がけるのは、実際に仲宗根氏のサポートを受けて「あじさい音楽村」からメジャーデビューしたガールズバンド、ステレオポニー。今は亡き“父”への感謝の気持ちが込められた歌詞、切なくも力強いメロディーと歌声が、映画のエンディングにさらなる真実の感動を与えている。
ある日、陽は、弁当を買いに来た近くの高校の生徒・アヤが、「この場所が使えたらいいのに」と店のガレージで話すのを耳にする。同級生のカイ、キヨシと3人でバンドを組んでいるアヤは、バンドの練習場所がなく困っていたのだ。快くガレージを提供する陽だったが、その騒音に、すぐに近所から苦情が来てしまう。
後日、市場で買い出しの中の陽は、放課後を持てあます3人と再会する。
「困ってるなら一緒に探してやる。本当にやりたいなら、あきらめるな」
励ましたつもりだったが、逆に「大人がこんな何もない町にしたくせに、偉そうなこと言わないで」と言い返されてしまう。
店の横の空き地で、陽が突然、鎌で草を刈り始めた。何をしているのかと尋ねる美智子に、陽は「音楽スタジオを作る」とぶっきらぼうに言い放つ。しかも、そのスタジオを作るために、陽がこっそり千代から金を借りたことが判明。相談なしの勝手な行動に、どうして他人のためにそこまでするのかわからない、と怒る美智子に対し、陽はぽつりと呟いた。
「昔はいろんな人がいろんなことを教えてくれた。うちも貧乏だったけど、いろんな人が助けてくれた。でも、今の若い連中にはそれがない。何かしないと、あかりをそういう世の中に放り出すことになる気がしてな……」
初めは、頼んでもいないのになぜ、と訝しがり戸惑うアヤだったが、ひとりで毎日黙々と建設作業をする陽の姿に心を打たれ、「手伝わせてください」と申し出る。
アヤに続き、カイとキヨシもスタジオ作りに加わり、慣れない力仕事に精を出す。
日に日に手伝いをする高校生は増えていき、遂にスタジオは完成。「あじさいスタジオ」と名づけられた。楽器を鳴らし歓声をあげる高校生たちに、陽は告げる。
「スタジオと機材は自由に使っていい。お金はいらない。ただし、条件がある。人としての姿勢、秩序、礼儀を大事にしろ……」
こうして“あじさい10か条”ができあがった。
“挨拶をすること”、“人の痛みのわかる人間になること”、“赤点は取らないこと”…それは、陽が高校生たちに伝えたかった、人として大切なこと。彼らは、時には親以上に自分たちを叱ってくれる陽を家族のように慕い、“ニイニイ”と呼び始める。
そんな日々の中、アヤにはひとつ気になっていることがあった。それは、ケンカで停学になりバンドも追い出された同級生のユウヤ。才能もテクニックもあるのに、音楽から背を向け行き場のない気持ちを抱える彼に、陽もかつて配達先で出会ったことがあり、その暗い目が心に残っていた。陽は、ユウヤの母が営むスナックへ出かけて行く。それは、ユウヤにもう一度ギターを持たせようとするためだった。
「才能なんかないし、音楽なんかやめてよかった」と言う母親に、
「息子の音楽聴いたことあんのか?
子どもの可能性を信じてやるのが親の務めだろ」と詰め寄る陽。
翌日、ユウヤがスタジオにギターを背負って現れる。
ユウヤとアヤたちは、“Hi-drangea”(ハイドランジア)というバンドで再スタートを切ることに。「あじさい」から名づけられたそのバンド名は、夢を見るきっかけをくれた陽に対する、彼らの感謝の気持ちの表れだった。
「プロを目指す」。そう言って練習に没頭するメンバーの想いに動かされ、陽もがむしゃらにラジオ局へハイドランジアの売り込みを始める。
その甲斐あって、ラジオからハイドランジアの曲が流れ、メンバーは歓喜する。音楽のことは何ひとつわからない陽が、走り始めたハイドランジアへ贈った精一杯のエール。
陽のサポートを受け、ハイドランジアは確実に実力と人気を備えて行く。
そしてついに、東京からスカウトもたくさん来るという沖縄最大のロックフェスティバルからの招待状を勝ち取るのだった。
ある夜。美智子は陽のジャケットに薬が入っているのを見つける。
問いつめる美智子に、実は精密検査を受けており、その結果が明日出るのだと告発する陽。
そして、陽と美智子への医師からの宣告は、3年前に手術したはずの腎臓がんの再発だった……。
那覇の病院へすぐ入院をすれば命を長らえることができる。そんな医師の言葉を聞き、自分の身体のことだけを考えて入院してほしいと懇願する美智子に、陽はポケットから青年の写真が入った古ぼけたカセットテープのケースを出して見せる。
清順というその青年は、陽の学生時代の一番の親友だった。陽は、彼がミュージシャンを目指し上京したこと、挫折した清順からの電話に「頑張れ」とハッパをかけたこと、それからしばらくして清順が事故で死んだことを語り出す。
「もうあいつらの夢が俺の夢でもあるんだ」
夢を追うことの素晴らしさ隠れた“残酷さ”を知る陽は、自分が背中を押したアヤたちを途中で放り出すことはできないと、美智子に告げるのだった。
一方、そんな事情を知らないアヤたちは、あることを計画していた。それは、未だ結婚式を挙げていない陽と美智子の結婚式。陽は、美智子と、結婚式で自分ががんであることをアヤたちに告げると約束する。しかし、結局はそれを言い出せず、「これまでありがとう」と自分に礼を言う陽の姿に、美智子はただただ涙を流す。
その後、地元の病院に入院した陽だったが、ある雨の日、スタジオが心配で病院を抜け出してしまう。陽と彼を追う美智子が豪雨の中で目にしたのは、ずぶ濡れになりながらスタジオを守ろうと必死で力を合わせて作業するアヤたちの姿だった。
すっかり逞しく、そして優しく成長した彼らを見た陽は、心から安堵する。
しかし、非情にも進行の早いがんは、日に日に陽の身体を蝕んでいく。
ハイドランジアの晴れ舞台を見届けようと、全身全霊で治療に打ち込む陽。
陽への想いを胸に練習に明け暮れるメンバー。
そして、ロックフェスのその日まで、1週間と迫っていた……
品番:BIXJ-0051
発売日:2012/05/02
価格:5,800円(税抜)
画面:16:9[1080p Hi-Def]ビスタサイズ
字幕:日本語字幕(聴覚障害者用字幕)
音声:日本語ドルビーTrueHD5.1chサラウンド
公開日:2011年10月公開
製作国:日本
製作年:2011
<特典映像>※予定
◆本編ディスク(Blu-ray)◆
・劇場予告編
◆特典ディスク(DVD)◆
・メイキング
・キャストインタビュー
(阿部寛、ミムラ、桜庭ななみ、矢野聖人、森崎ウィン、野村周平)
・舞台挨拶集(沖縄国際映画祭、完成披露試写会、初日舞台挨拶)
・仲宗根陽さん生前の映像&普段のあじさい音楽村
・公開記念ドキュメンタリー「沖縄・あじさい音楽村のニイニイ」(関西テレビ ほか)
・ロケ地マップ
品番:BIBJ-8137
発売日:2012/05/02
価格:4,800円(税抜)
画面:16:9LBビスタサイズ
字幕:日本語字幕(聴覚障害者用字幕)
音声:日本語ドルビーデジタル5.1chサラウンド
公開日:2011年10月公開
製作国:日本
製作年:2011
<特典映像>※予定
◆本編ディスク◆
・劇場予告編
◆特典ディスク◆
・メイキング
・キャストインタビュー
(阿部寛、ミムラ、桜庭ななみ、矢野聖人、森崎ウィン、野村周平)
・舞台挨拶集(沖縄国際映画祭、完成披露試写会、初日舞台挨拶)
・仲宗根陽さん生前の映像&普段のあじさい音楽村
・公開記念ドキュメンタリー「沖縄・あじさい音楽村のニイニイ」(関西テレビ ほか)
・ロケ地マップ
品番:BIBJ-8138
発売日:2012/05/02
価格:3,800円(税抜)
画面:16:9LBビスタサイズ
字幕:日本語字幕(聴覚障害者用字幕)
音声:日本語ドルビーデジタル5.1chサラウンド
公開日:2011年10月公開
製作国:日本
製作年:2011
<特典映像>※予定
劇場予告編