「腐ったリンゴがいる」。英国諜報部〈サーカス〉のリーダー、コントロール(ジョン・ハート)は、不穏な情報を掴む。5人のサーカス幹部の中に、長年に渡り潜り込んでいるソ連の二重スパイ〈もぐら〉がいるというのだ。ハンガリーの将軍が、〈もぐら〉の名前と引き換えに亡命を要求。コントロールは独断で、工作員ジム・プリドー(マーク・ストロング)をブダペストへ送り込む。だが、ジムが撃たれて作戦は失敗、責任を問われたコントロールは長年の右腕だったジョージ・スマイリー(ゲイリー・オールドマン)と共にサーカスを去る。
新リーダーのパーシー・アレリン (トビー・ジョーンズ)は、ビル・ヘイドン(コリン・ファース)、ロイ・ブランド(キアラン・ハインズ)、トビー・エスタヘイス(デヴィッド・デンシック)を率い、ソ連の新しい情報源と手を結んだ〈ウィッチクラフト作戦〉で成果を上げる。一方、コントロールは謎の死を遂げ、最愛の妻のアンに出て行かれたスマイリーは虚ろな日々を送っていた。
突然、レイコン次官(サイモン・マクバーニー)に呼び出され、4人の幹部の中に潜む〈もぐら〉を突き止めろという極秘命令を下されるスマイリー。彼は、サーカスのピーター・ギラム(ベネディクト・カンバーバッチ)、元警部メンデルとチームを組み、古いホテルの一室に作戦室を開く。
スマイリーは手始めに、最近サーカスを退職したコニー(キャシー・バーク)を訪ねる。「カーラ」─彼女の口からその名が出る。スマイリーの宿敵にして、謎に包まれたソ連の大物スパイだ。ソ連大使館のポリヤコフがカーラの手先だと睨んだコニーはパーシーとトビーに報告するが、「判断力を失っている」と解雇されてしまう。「古き良きサーカスは消えた」と嘆くコニー。スマイリーの胸にもかつての日々が甦り、感情を捨てたはずの身を切なくかき乱す。
ピーターが目を疑う記録を入手する。ジムの死後、彼の偽名の口座に1000ポンドが振り込まれていた。謎が深まる中、イスタンブールで東側に寝返ったと思われていたリッキー・ター(トム・ハーディ)が帰国し、スマイリーに助けを求める。リッキーは当時イスタンブールで、違反行為を承知で東側の通商使節団員、イリーナ(スヴェトラーナ・コドチェンコワ)と接触し、恋に落ちた。亡命を望む彼女が交換条件として提示したのは〈もぐら〉の情報だった。だが、リッキーがサーカスにその旨の電報を打った直後、イリーナはソ連側に連れ去られてしまう。「彼女を救い出さなければ」リッキーは、溢れる涙を拭いながらスマイリーに訴える。
淡々と、スマイリーの捜査は進む。巧妙なトリックでピーターが持ち出した当直日誌は、一部が切り取られていた。リッキーからの電報の記録があるはずのページだ。もはやすべてが、〈もぐら〉に筒抜けなのだ。
スマイリーは隠密捜査に消耗したピーターと酒杯を交わし、カーラと一度だけ対面したことを打ち明ける。当時スマイリーは、壊滅状態のモスクワ・センターの工作員たちをスカウトし、西側のスパイにする、という任務を遂行中だった。そのうちのひとりが、カーラであった。亡命を散らつかせ一晩中説得を試みるが、カーラは「屈服より死を選ぶ」と、帰国したという。妻のアンから贈られたスマイリーのライターと共に。
ジムが撃たれた夜、ハンガリーから緊急連絡を受けた当直に話を聞くスマイリー。当直はスマイリーの自宅に電話したが、彼は出張で留守だった。大混乱のサーカスに、ビルが駆けつける。ビルとジムは、学生時代には「一心同体」と囁かれた仲だ。ビルはハンガリー大使館に電話し、ジムが死んだら容赦しないと息巻く。どうやってビルはジムの危機を知ったのかと疑問を抱くピーター。「あの夜、彼は私の家にいた」何気ないふりを装って、苦悩を吐き出すスマイリー。ビルは妻アンの愛人だったのだ。
ハンガリーで死んだとされていたが、ビルの尽力で生き延び、今は教師となったジムを訪ねるスマイリー。撃たれた後、拷問されたと語るジム。“アンより 愛を込めて”と彫られたライターを持つ男に。間違いない。カーラだ。
スマイリーが執念で集めた事実が今、真実という一枚の絵を描こうとしていた。大臣に捜査経過を報告するスマイリー。ウィッチクラフト作戦のソ連側の情報源の真の目的は、〈もぐら〉から受け取った情報をカーラに渡すこと。それも、英国ではなくサーカスが提携するアメリカの情報を。「どうすれば?」と絶句する大臣に「〈もぐら〉が欲しいものが一つあります」と答えるスマイリー。
過去に弱みを持つトビーを脅し、ウィッチクラフト作戦の密会所の住所を聞き出すスマイリー。あとはリッキーを囮に差し出すだけだ。〈もぐら〉は密会所でソ連側の情報源にリッキーを消すよう指示するだろう。罠は仕掛けられた。
