大都市ロサンゼルスを日々慌ただしく駆けめぐるミック・ハラーは、麻薬の売人や娼婦などの犯罪者を顧客とするやり手弁護士だ。そんなミックのもとに、ひょっこりと“でかい儲け話”が転がり込んでくる。ルイス・ルーレというビバリーヒルズの資産家の御曹司が女性への殺人未遂容疑で告発されたその事件は、司法取引で丸く収めれば報酬をがっぽりと得られるはずだった。しかし無実を主張するルイスが司法取引を断固拒否したため、事件の決着は裁判に持ち込まれる。しかもルイスが、4年前にミックが弁護を担当した殺人事件の真犯人ではないかという衝撃的な疑惑が浮上。元妻や娘にまで危険が迫り、自分が用意周到な罠にはめられたことを悟ったミックは、弁護士としての人生最大の危機に瀕していくのだった……。
アメリカを代表するハードボイルド&ミステリー小説の巨匠マイクル・コナリーの同名ベストセラー小説を映画化した『リンカーン弁護士』は、その名の通り、愛車リンカーン・コンチネンタルの後部座席を事務所代わりにしている一匹狼の弁護士を主人公にしたスリリングな法廷ドラマだ。シドニー・ルメット監督の『十二人の怒れる男』(57)や『評決』(82)、ビリー・ワイルダー監督の『情婦』(57)など、幾多の不朽の名作を生んだ法廷ものはハリウッドの伝統的なお家芸。リーガル・サスペンスの旗手たるジョン・グリシャムが登場した1990年代には『ザ・ファーム/法律事務所』(93/シドニー・ポラック監督)、『依頼人』(94/ジョエル・シューマカー監督)などの映画化が相次ぎ、近年もグレン・クローズ主演のTVシリーズ「ダメージ」(07)が話題になった。本国アメリカで公開されるや大好評を博し、すでに続編の企画が持ち上がっている『リンカーン弁護士』は、このジャンルの新たな決定打というべき快作なのだ。
『リンカーン弁護士』の最大の魅力は、主人公ミック・ハラーのこのうえなくユニークなキャラクターにある。
司法取引で依頼人の罪を軽減させるのが十八番のミックは、必要とあらばダーティな裏技も駆使するため、検事や刑事から社会のクズどもをのさばらせていると敵視される異端児。しかし人情に厚く、独自の人道的ポリシーを貫く彼は、ただの悪徳弁護士とは一線を画す奥深い個性の持ち主だ。落ち込んでヤケ酒をあおるときの情けなさと、いかなる権力のプレッシャーをもはねつけるタフさのギャップもその魅力を際立たせ、離婚した元妻に今なお愛されているモテ男ぶりもなぜか憎めない。とことん人間臭く、不屈の精神力と行動力を兼ね備えたハリウッドのニュー・ヒーローが、ここに誕生した!
そのミックが狡猾にして残虐な素性を隠し持つ依頼人ルイスに翻弄される物語は、まさに波瀾万丈にして予測不可能。万能とは言いがたいアメリカの司法制度の盲点を鋭く突き、まんまと無罪をせしめようとするルイスと、弁護士としての職務と正義の狭間で苦悩するミックとの駆け引きは、まさに一瞬たりとも目が離せない。そして後半には、ミックと若手検事ミントンとの法廷闘争も同時進行で繰り広げられ、ジェットコースター的興奮がぐんぐん加速していく。“無実の者を有罪にし、有罪の者を無実にしてしまう”という究極の矛盾をはらんだ状況に追い込まれたミックに、はたして起死回生の反撃手段はあるのか。やがて固唾をのんで裁判の成り行きを見守る観客は、終盤のどんでん返しに驚愕し、爽快感を伴うカタルシスに浸ることになるのだ。
大学時代に弁護士を志望し、ジョン・グリシャム原作の『評決のとき』(96/ジョエル・シューマカー監督)で演じた新米弁護士役がハリウッドでの出世作となったマシュー・マコノヒーは、まさにミック・ハラー役にうってつけのスターだった。アクション大作からロマンチック・コメディまで幅広くこなしてきたマコノヒーは、感情の浮き沈みが激しいミックの人物像をいきいきと熱演。法律の表と裏を知り尽くしたこのキャラクターに、軽妙さや優雅さをも吹き込み、キャリア最高といって差し支えのないパフォーマンスを披露している。
この映画の最大のミステリーたる“奇妙な依頼人”ルイスに扮した、ライアン・フィリップのただならぬ存在感も見逃せない。表向きは裕福でハンサムなプレイボーイだが、その心の奥底には海千山千のミックさえもうかがい知れない深い闇が広がっている。クリント・イーストウッド監督の『父親たちの星条旗』(06)などで着実に評価を高めてきた若手俳優が、ここでも演技巧者ぶりを強烈に印象づける。さらに『レスラー』(08/ダーレン・アロノフスキー監督)でアカデミー賞®助演女優賞候補になったマリサ・トメイがミックの元妻マギーを、『ファーゴ』(96/ジョエル・コーエン監督)などの曲者俳優ウィリアム・H・メイシーがミックの相棒フランクを演じるなど、充実の脇役陣が映画の味わいをいっそう深めている。
またマコノヒーの推薦を受けて監督に抜擢されたのは、これが劇映画2作目となる新鋭ブラッド・ファーマン。ロサンゼルスの乾いた街並みをシャープに切り取り、複雑怪奇なストーリーを見事にさばいた演出力は、今後のハリウッドでの飛躍を大いに予感させる。
黒塗りのリンカーン・コンチネンタルの後部座席を事務所代わりにしているミック・ハラー(マシュー・マコノヒー)は、やり手の弁護士だ。つねに複数の訴訟を抱える彼は、犯罪をしでかした依頼人たちを救うため、ロサンゼルス各地の裁判所を忙しなく飛び回っている。麻薬の売人や娼婦らに罪を認めさせて検察との司法取引をまとめ、軽い刑でカタをつけるのがミックの常套手段。時には汚い手口を使うため敵も少なくないが、社会のはみ出し者たちを助けるというミックの信念は片時も揺るがない。二度の離婚歴があるものの、検事として活躍する最初の元妻マギー(マリサ・トメイ)とは今も愛し合っており、彼女との間にもうけた幼いひとり娘との関係も良好だ。
黒人運転手アールが走らせるリンカーンで今日もとある裁判所を訪れたミックは、顔なじみの保釈金立替業者ヴァル(ジョン・レグイザモ)から「でかい話があるぜ」と耳打ちされる。ルイス・ルーレ(ライアン・フィリップ)という裕福な青年が女性を殴って重傷を負わせ、もうじき立件されるというのだ。さっそく拘留中のルイスに面会したミックは、32歳の彼が年収60万ドルの資産家で逮捕歴がないことを確認し、保釈の手続きをとってやった。確かにこれはヴァルの言う通り、金になる“でかい話”に違いなかった。
ミックは調査員として重用する親友の私立探偵フランク(ウィリアム・H・メイシー)を伴い、不動産会社を営むルイスの母親メアリー(フランシス・フィッシャー)の顧問弁護士ドブス(ボブ・ガントン)のオフィスを訪ね、改めてルイスと対面する。事件の当夜、ナンパ目的の若者たちが集まるバー“アソシエーション”に立ち寄ったルイスは、レジーナという26歳の女性に誘われ、彼女の自宅を訪問。ところが玄関の内側に足を踏み入れたとたん、レジーナに背後から頭を殴られて気を失い、近所に住むゲイのカップルに取り押さえられたという。すなわち“賠償金目当ての悪女の罠にはめられた”というのがルイスの主張だった。
一方、フランクが入手した捜査資料によると、レジーナは知人のふりをして自宅にやってきたルイスに、いきなり惨たらしい暴力を振るわれたと証言。その後、首にナイフを突きつけられながらもウォッカの瓶で彼を殴り、かろうじて逃げ延びたという。被害者と容疑者の言い分は真っ向から食い違い、ルイスは頑なに無罪を主張。いつものように司法取引で済ませようとしていたミックは、それをルイスに拒否され、戦略の転換を迫られることになった。
ルイスの話はどうも都合よすぎて信じがたい。それがミックの率直な感想だったが、レジーナが別の男とグルになってルイスをはめたという線も捨てきれない。すると翌朝、フランクが“アソシエーション”の監視カメラの映像を入手し、ミックの自宅にやってきた。そこにはルイスの言い分通り、レジーナが彼を誘惑したことを示す決定的瞬間が映っており、おまけに彼女がプロの娼婦だという事実も発覚した。すぐさまミックはこの重要証拠をちらつかせ、担当検事ミントン(ジョシュ・ルーカス)に起訴を取り下げさせようとするが、ミントンは自信ありげに法廷で闘うと宣言。ミントンはルイスの所持品である血まみれのナイフを現場から確保しており、それこそがレジーナへの暴行容疑の動かぬ証拠と見なしていたのだ。
一転して形勢不利となり、ナイフの件を隠していたルイスへの不信感を強めたミックは、顔面の右半分がひどく傷つけられたレジーナの写真を眺めているうちに、これに酷似した4年前のケースを思い出す。ドナ・レンテリアという女性が同様の傷を負い、レイプされた揚げ句に惨殺された事件だ。当時、容疑者マルティネス(マイケル・ペーニャ)の弁護を請け負ったミックは、無実を叫ぶ彼にむりやり罪を認めさせ、司法取引を行った。そのため終身刑を言い渡され、今も服役中のマルティネスに面会したミックは、改めてドナ殺害事件のあらましを尋ねる。そしてルイスの写真を見せ、事件発生直前にマルティネスが彼をバーで目撃したことを確認するのだった。
もはやルイスはドナ殺しの真犯人で、彼がレジーナを殺そうとしていた疑いも濃厚になった。ところがミックは重大な問題にぶち当たる。弁護士は依頼人を警察に突き出せず、ルイスの悪行を検事に告げることもできない。“秘匿特権”のせいであらゆる証拠は使えず、もしそれを使えばルイスの罪を裁けなくなってしまう。ルイスはこうした法律の盲点を熟知したうえでミックを雇ったのだ。その夜、ミックの自宅に現れ「ドナを殺したのは僕だ」とあっさり認めたルイスは、冷酷な凶悪犯の本性を露わにし、ふてぶてしい脅しをかけてくるのだった。
その脅しはポーズだけではなかった。裁判が始まって間もなく、フランクが自宅で頭部と胸を撃たれた死体で発見されたのだ。しかも凶器の拳銃は、ミックの自宅から盗み出されたコルト・ウッズマンだと判明。ルイスの恐るべき策略によって、警察の家宅捜索を受けるはめになったミックは、フランク殺しの罪を着せられかねない最悪の事態に陥ってしまう。
逃げ場を失ったミックは、やむなくルイスの無罪を勝ち取るため、法廷でミントン検事との激しい舌戦を繰り広げていく。関係者の証言が次々と行われ、最後に証言台に立ったルイスは、「こんな罪で裁かれる気持ちがわかりますか?」と迫真の演技で訴え、陪審員の同情を誘う。裁判はルイスの思惑通り、被告側の圧倒的優勢のまま最終弁論に突入しようとしていた。
はたして八方ふさがりの苦境にもがくミックは、極悪人ルイスに法の裁きを受けさせ、無実の罪で服役中のマルティネスを救い出すことができるのか。いよいよクライマックスを迎えた裁判は、誰も予想しえない急展開の果てに、驚愕の結末へとなだれ込んでいくのだった……。
品番:BBXN-1099
発売日:2013/01/08
価格:4,700円(税抜)
画面:16:9 スコープサイズ
字幕:(1)日本語字幕 (2)吹替え用字幕
音声:
(1)オリジナル<英語>ドルビーTRUE HD5.1Ch
(2)吹替<日本語>ドルビーデジタル2.0ch
公開日:2012年07月公開
製作国:米国
製作年:2011
●映像特典(予定)
(1)メイキング
(2)原作者マイクル・コナリー特別インタビュー
(3)マシュー・マコノヒー&マイクル・コナリーが語る「リンカーン弁護士」
(4)削除シーン
(5)予告篇(本国オリジナル、日本版)
●初回限定豪華アウターケース付!
●封入「リンカーン弁護士」をより面白く見る為の、法律(用語)解説(仮)
「リンカーン弁護士」の背景となっている法律を簡単に分かりやすく用語解説します。「リンカーン弁護士」がますます面白くなります!
品番:BBBN-1100
発売日:2013/01/08
価格:3,800円(税抜)
画面:16:9 スコープサイズ
字幕:(1)日本語字幕 (2)吹替え用字幕
音声:
(1)オリジナル<英語>ドルビーデジタル5.1Ch
(2)吹替<日本語>ドルビーデジタル2.0ch
公開日:2012年07月公開
製作国:米国
製作年:2011
●映像特典(予定)
(1)メイキング
(2)マシュー・マコノヒー&原作者マイクル・コナリーが語る「リンカーン弁護士」
(3)日本予告篇
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