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ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館

映画史上特筆すべき熱狂を呼び起こした『ハリー・ポッター』シリーズの主演を務め、若くして世界的なスーパーアイドルとなったダニエル・ラドクリフ。2011年の完結編『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』で大役をやり遂げた彼が、その次に挑むべき作品として数ある企画の中から自ら選び取ったのが、このブリティッシュ・ゴシック・ホラー『ウーマン・イン・ブラック亡霊の館』である。

19世紀末のロンドンに暮らす若き弁護士アーサー・キップスは、4年前に愛妻ステラを亡くして以来、失意のどん底に沈んでいた。そんなある日、事務所の所長から新たな仕事を命じられた彼は、ひとり息子ジョセフをロンドンに残し、田舎町クライシン・ギフォードへの出張に旅立つ。列車を乗り継いで現地に着いたアーサーに課せられたのは、最近他界したアリス・ドラブロウ夫人の“イールマーシュの館”に赴き、彼女の遺言書を見つけ出すこと。ところが沼地の島にぽつんとそびえ立つ館にはただならぬ陰鬱なムードが漂い、謎めいた“黒衣の女”が森や窓辺に出没する。やがてこの館の忌まわしい過去と、町の大勢の子供たちが相次いで変死している事実を探りあてたアーサーは、自らも恐るべき呪いの連鎖に巻き込まれていくのだった……。

原作は、栄えあるサマセット・モーム賞やウィットブレッド賞などに輝く現代イギリスの人気作家スーザン・ヒルの「黒衣の女ある亡霊の物語」。1983年に出版されたこのベストセラー小説は、1982年にTVムービー化され、ラジオ・シリーズや舞台劇にもなった名作中の名作だ。そしてこのたび『吸血鬼ドラキュラ』(58)などの怪奇映画で一世を風靡し、『モールス』(10)で復活を果たした老舗のホラーレーベル、ハマーフィルムが、15年もの構想期間を経て執念の映画化を実現。この奇跡的なコラボレーションが実り、全米ボックスオフィスで初登場2位を記録した本作は、世界中で1億3,000万ドル以上の興収を叩き出し、ホラー&スリラーのジャンルにおいて近年最も成功を収めたイギリス映画となった。

深い霧に包まれた沼沢地にひっそりとたたずむ洋館。そんな詩的なまでに美しくも不気味な舞台設定のもとで物語が展開していく本作は、恐怖と悲哀に満ちた正統派のゴースト・ストーリーである。人生の大切な伴侶を失った悲運の弁護士であり、一児の父親でもある主人公アーサーに扮したラドクリフは、このうえなく繊細かつ豊かな感情表現を披露。とりわけアーサーが“イールマーシュの館”の内部を探索するシークエンスでは、この世ならぬ超常現象に見舞われながら“黒衣の女”の秘密ににじり寄っていく過程を、迫真のひとり芝居で演じきった。

ホラーにありがちな絶叫演技をあえて封印し、今は亡き愛妻の幻影に囚われた男の耐えがたい痛みもひしひしと伝える入魂の演技は、俳優としての確かな成長を印象づける。まさに本作は魔法使いの少年役から脱皮し、真の実力派スターへのステップアップを志したラドクリフにうってつけの作品となった。

また刺激的なバイオレンス描写に一切頼らず、美術、衣装、ロケーション選びにこだわり、格調高さすら感じさせるゴシック・ワールドを創造したスタッフの丹念な仕事ぶりも見逃せない。怪しげな物音、姿なき何者かの気配、人形や機械じかけのオモチャ、意外な真実を物語る写真や手紙が、じわりじわりと心理的恐怖を高めていく作風は、数多くの幽霊譚が庶民生活に根づいたイギリスという国の伝統や風土を色濃く反映している。

こうしたクラシカルなタッチと、クライマックスとその先のどんでん返しを盛り上げるモダンなホラー演出を巧みに使い分けた監督は、ケリー・ライリー&マイケル・ファスベンダー主演の『バイオレンス・レイク』(08)で絶賛された新鋭ジェームズ・ワトキンスである。スーザン・ヒルの原作小説にエモーショナルな改変を加えた脚本家は、『キック・アス』(10)、『X−MEN:ファースト・ジェネレーション』(11)の注目株ジェーン・ゴールドマン。さらに『裏切りのサーカス』(11)のいぶし銀俳優キアラン・ハインズ、『アルバート・ノッブス』(11)でアカデミー助演女優賞にノミネートされたジャネット・マクティアらの実力派がラドクリフの脇をがっちりと固め、戦慄と幻想、愛と喪失のドラマに深みを与えている。

若き弁護士アーサー・キップスは人生の苦境に立たされていた。4年前に最愛の妻ステラに先立たれて以来、ずっと埋めようのない喪失感に囚われているのだ。ひとり息子ジョセフの前では父親らしく振る舞っているが、どうしても仕事に身が入らない。そんなある日、アーサーは事務所の所長ベントレー氏から新たな仕事を命じられる。それは先月、田舎町クライシン・ギフォードで他界したアリス・ドラブロウ夫人の“イールマーシュの館”に赴き、遺産整理に必要な遺言書を見つけ出せというものだった。この仕事をやり遂げないと解雇するとベントレー氏に言い渡されたアーサーは、さっそく旅支度にとりかかる。火曜日にロンドンを発って3日間で仕事を済ませ、金曜日には家政婦にジョセフをクライシン・ギフォードに連れて来させて、その週末を現地で過ごす。それがアーサーが立てたスケジュールだった。

ロンドン発の列車に乗り、途中でローカル線に乗り換えたアーサーは、閑散とした車内でサム・デイリーと名乗る中年紳士と出会う。親切なデイリー氏の車に乗せてもらったアーサーは、ようやく長旅の果てに宿にたどり着くが、宿の主人は予約したはずの部屋がないと冷たく告げ、主の妻の好意で屋根裏部屋に泊まることに。かつて子供部屋だったらしいその部屋には、あどけない3人姉妹の写真が飾られ、どこか沈痛な雰囲気がこびりついていた。

翌日、アーサーは地元の弁護士ジェロームの協力を得ようと、彼の自宅を訪ねる。ところがジェロームはほんのわずかな書類をアーサーに手渡し、今すぐロンドンに帰るように促してくる。アーサーは住民のよそよそしい視線を感じながらも、馬車引きの男に駄賃を奮発し、ひとりで“イールマーシュの館”に向かうことにした。
その館は人里離れた沼沢地帯に浮かぶ島の中に建っていた。島へ続く一本道は満潮時になると水没し、町への往来が断たれるという。島の手前の道のほとりには、なぜか一本の十字架が立てられていた。
アーサーは鬱蒼とした森を抜け、いかにも不気味な館の中に足を踏み入れる。すぐさま膨大な文書の整理を始めた彼は、ナサニエル・ドラブロウという7歳の少年の死亡証明書を発見。アリス・ドラブロウ夫人の子供と思われるこの少年は沼地で溺死し、遺体は未発見のままだという。やがて2階から窓の外を見たアーサーは我が目を疑った。森の中に黒衣をまとった女が立っていたのだ!
迎えの馬車で町に戻ったアーサーは、警察で“黒衣の女”の目撃談を報告するが、まったく取り合ってもらえない。すると真っ青な顔の少女がふらふらと警察に現れ、アーサーの目の前で血を吐いて絶命してしまう。その夜、デイリー氏に夕食に招かれ、彼の家に泊まったアーサーは、デイリー氏と情緒不安定な妻エリザベスが息子を亡くした過去を知るのだった。

デイリー氏の車で再び館に向かう途中、アーサーは住民に行く手を阻まれる。彼らは昨日、少女が急死したのはアーサーが館を訪ねたせいだと決めつけていた。その制止をふりきって館に着いたアーサーは徹夜仕事に取りかかる。まもなく昨日と同じ黒衣の女を目撃したアーサーは、その人影がたたずんでいた2階の部屋の物入れから何通もの手紙を発見する。
その手紙はジェネット・ハンフリーという女性が、姉のアリス・ドラブロウに宛てたものだった。実はナサニエルはジェネットの息子で、むりやりアリスの養子にさせられたらしい。ジェネットは我が子を奪い、命を守れなかったアリスを呪い、「決して許さない。地獄でもだえ苦しむがいい」と荒々しい筆致で綴っていた。続いてジェネットの死亡証明書を見つけたアーサーは、彼女がこの館の子供部屋で首吊り自殺したことを知る。
そのとき2階の突き当たりの子供部屋から奇怪な物音が響いてきた。アーサーが斧とロウソクを手にしてその部屋に入ると、ロッキングチェアがひとりでに揺れ動いていた。そして窓から外に目をやると、例の十字架のそばの泥の中からひとりの子供が出現し、館のほうに歩み寄ってくる。1階に降り、おそるおそる玄関を開けたアーサーは、土砂降りの雨の中、森に立ちすくむ大勢の子供の幽霊を目の当たりにするのだった。

極限の恐怖の余韻も覚めやらぬうちに、夜明けにデイリー氏の車で町に戻ったアーサーは、火災に巻き込まれたジェロームの娘ルーシーを救うため、勇敢にも家の中に飛び込んでいく。しかしルーシーは地下室で自ら炎に包まれて焼死。その傍らには、あの黒衣の女が立っていた。
アーサーは一連の出来事が黒衣の女、すなわち怨霊と化したジェネットの呪いの仕業だと確信を深めていた。我が子を失い、自らも非業の死を遂げたジェネットは、姉アリスのみならずこの町のすべての住民を憎み、子供たちの命を奪い続けているのだ。
「あの女を見てしまうと、必ずその人の子供は死んでしまう」。エリザベスからそう警告されたアーサーの心臓が縮み上がった。今日、金曜日の夜には、ロンドンから息子のジョセフがこの町にやってくるのだ。 ジョセフの命を救うには、ジェネットにナサニエルの遺体を返してやるしかない。そう考えたアーサーはデイリー氏の協力を得て、ナサニエルの亡骸が眠っているはずの十字架の立つ場所へと向かうのだが……。

1989年、ロンドン生まれ。チャールズ・ディケンズの古典小説に基づくBBCのTVムービー「デビッド・コパーフィールド」(99)でデビュー。11歳の時にJ・K・ローリングのベストセラー小説の映画化『ハリー・ポッターと賢者の石』(01)のオーディションに参加し、3000人以上の候補者の中から主人公ハリー・ポッター役に抜擢される。これをきっかけに一躍世界的なスーパー・アイドルとなり、『ハリー・ポッターと秘密の部屋』(02)、『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(04)、『ハリー・ポッターと炎のゴブレット 』(05)、『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 』(07)、『ハリー・ポッターと謎のプリンス』(08)、『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』(10)、『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』(11)というシリーズ全8作の主役を務めた。そのほかの出演作に『テイラー・オブ・パナマ』(01)、『ディセンバー・ボーイズ』(07)、TV映画「ダニエル・ラドクリフのマイ・ボーイ・ジャック」(07)があり、アレン・ギンズバーグを演じる『Kill Your Darlings』などの新作が控えている。
また舞台出演にも意欲的で、2007年のウエストエンドと2008年のブロードウェイにおけるピーター・シェイファーの戯曲「エクウス」でアラン・ストラング役を演じ、ブロードウェイ・ワールド主催の演劇ファン年間大賞の最優秀主演男優賞、ブロードウェイ・ドットコム観客賞の最優秀男優賞および新人演技賞を受賞。2011年にはブロードウェイ・ミュージカルのデビュー作「努力しないで出世する方法」で、主役のJ・ピエールポイント・フィンチを演じて絶賛された。

1953年、イギリス・北アイルランドのベルファスト生まれ。グラスゴー市民劇場の劇団員としてキャリアをスタートさせ、数多くの舞台に立つ一方、1990年代後半から映画界での活動を本格化させる。主な出演作は『カレンダー・ガールズ』(03)、『ヴェロニカ・ゲリン』(03)、『オペラ座の怪人』(04)、『ミュンヘン』(05)、『マリア』(06)、『アメイジング・グレイス』(06)、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(07)、『ザ・ライト −エクソシストの真実−』(11)、『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』(11)、『裏切りのサーカス』(11)、『ジョン・カーター』(12)など。最近ではイギリスの人気TVシリーズ「犯罪捜査官アナ・トラヴィス」のレギュラーでも好評を博している。

1961年、イギリス・ニューカッスル生まれ。ロンドンの王立演劇学校を卒業し、舞台、映画、TVの分野で多彩なキャリアを築く。映画界では『嵐が丘』(92)、『キャリントン』(95)などに出演したのち、『Tumbleweeds』(99)でゴールデン・グローブ女優賞(コメディ/ミュージカル部門)を受賞し、アカデミー主演女優賞にノミネート。最近ではグレン・クローズと共演した『アルバート・ノッブス』(11・未)でアカデミー助演女優賞候補になった。そのほかの主な出演作には『歌追い人』(00)、『キング・イズ・アライヴ』(00)、『ローズ・イン・タイドランド』(05)、『レッド・バレッツ』(11・未)、TVムービーの「分別と多感」(08)、「チャーチル 第二次大戦の嵐」(09)などがある。

1979年、イギリス・ロザラム生まれ。リバプール・インスティチュート・オブ・パフォーミング・アーツを2001年に卒業。同年、ロッディ・ドイルの小説を自身が脚色した「The Woman Who Walked into Doors」の演技で、ナショナル・スチューデント・ドラマフェスティバルの最優秀個人演技賞を含む3つの賞を受賞した。その後は映画、TV、演劇の世界で幅広く活躍。主な映画出演作には『ヴェラ・ドレイク』(04)、『サブリミナル』(08・未)、『THE GAME 12』(08・未)があり、TV作品の出演作には「S.A.S. 英国特殊部隊」「S.A.S. 英国特殊部隊Ⅱ」「時空刑事1973 LIFE ON MARS」「アガサ・クリスティー ミス・マープル4/ポケットにライ麦を」などがある。

1978年、イギリス生まれ。ワーキング・タイトル・フィルムズと脚本のファーストルック契約を交わし、この契約のもとで『処刑ドット・コム』(02・未)など数本の脚本を執筆する。その後『Gone』(07)、『ディセント2』(09)の脚本を手がける一方、ケリー・ライリー&マイケル・ファスベンダー主演の『バイオレンス・レイク』(08・未)で監督デビュー。湖畔のリゾート地を訪れた若いカップルを襲う不条理な惨劇を描いたこのスリラーは、ガーディアン紙によるその年の“最高の英国ホラー映画”に選ばれ、エンパイア賞の最優秀ホラー映画賞、シッチェス・ファンタジー映画祭の審査員賞、ポルト国際映画祭の最優秀監督賞を受賞した。現在はワーナー・ブラザースやパテ社との新作企画を開発中である。

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品番:BIXF-0071
発売日:2013/06/04
価格:4,700円(税抜)
画面:16:9シネスコサイズ[1080p Hi-Def]
字幕:1.日本語字幕 2.日本語吹替用字幕
音声:
1.英語ドルビーTrueHD5.1chサラウンド (Advanced 96k Upsampling)
2.日本語ドルビーTrueHD5.1chサラウンド
公開日:2012年12月公開
製作国:イギリス/カナダ/スウェーデン
製作年:2012

【映像特典】(約45分)
・メイキング
・インタビュー集(アーサー・キップス役:ダニエル・ラドクリフ、 デイリー氏役:キアラン・ハインズ、
デイリー婦人役:ジャネット・マクティア、監督:ジェームズ・ワトキンス、製作:リチャード・ジャクソン
製作:サイモン・オークス、脚本:ジェーン・ゴールドマン、原作:スーザン・ヒル)
・撮影風景映像集
・撮影の舞台裏
・予告集


商品詳細

品番:BIBF-8283
発売日:2013/06/04
価格:3,800円(税抜)
画面:16:9LBシネスコサイズ
字幕:1.日本語字幕 2.日本語吹替用字幕
音声:1.英語ドルビーデジタル5.1chサラウンド 2.日本語ドルビーデジタル5.1chサラウンド
公開日:2012年12月公開
製作国:イギリス/カナダ/スウェーデン
製作年:2012

【映像特典】(約45分) ・メイキング
・インタビュー集(アーサー・キップス役:ダニエル・ラドクリフ、 デイリー氏役:キアラン・ハインズ、
デイリー婦人役:ジャネット・マクティア、監督:ジェームズ・ワトキンス、製作:リチャード・ジャクソン
製作:サイモン・オークス、脚本:ジェーン・ゴールドマン、原作:スーザン・ヒル)
・撮影風景映像集
・撮影の舞台裏
・予告集


商品詳細