10年前に愛する夫ショーンを突然の心臓発作で失った美しい未亡人アナ。彼女は、心の傷を癒すのを何年も待ち続けてくれた男性との結婚を決意する。そんなある日、彼女の前に見知らぬ少年が現れ、こう告げた。「僕はショーン、君の夫だ」。10歳になるその少年は夫しか知らない秘密を語り、深い愛を秘めた目でアナを見つめるのだった…。
『めぐりあう時間たち』でアカデミー賞主演女優賞を受賞、2006年映画出演料ランキングでも女優部門で第1位となったニコール・キッドマン。今年も『ファー／Fur』を始め公開作が目白押し。まさに名実ともにハリウッドの頂点に君臨する名女優である。日本における人気も絶大で、“丸の内OLが選ぶ好きな女優ランキング第1位”にも輝いた。彼女は自らの出演作に対する的確な目を持つ女優としても知られ、必ずしも予算の大きな作品ばかりに出演するわけではない。小粒でも質の高い映画、監督や脚本が魅力的な映画に好んで出演してきた。そんな彼女が選んだサスペンス映画の傑作が『記憶の棘』である。彼女が演じるのは10年前に心臓発作で夫を失った美しい未亡人。悲しみに暮れていたが、ようやく新しい恋人のプロポーズを受ける決心がついた。ところが、二人の婚約パーティの夜、一人の少年が現れ、彼女に告げる。「僕はショーン、君の夫だ」と。
当初は少年の言葉をまったく信じていなかったヒロインだが、彼女の心は激しく動揺し始める。何しろ、少年は死んだ夫しか知りえないような事実を知っているのだ。「もしや……」という疑念はやがて「彼は本当に夫の生まれ変わりに違いない」という確信へと変わっていく。果たして生まれ変わりや輪廻転生はあるのか。しかし、これは超常現象を扱ったホラー映画などではない。一人の女性の戸惑いや不安、そして母性と官能が入り混じった切ない心模様を描いた異色のミステリー。役づくりのため大胆なショートヘアに変身したニコール・キッドマンの色香が眩い。彼女の微妙な表情の変化こそ本作の大きな見どころだ。この大女優を向こうに回し、子供らしくない子供を演じるのはキャメロン・ブライト。『ウルトラヴァイオレット』など出演作が相次ぐ名子役。監督はミュージックビデオで天才クリエイターの名をほしいままにするジョナサン・グレイザー。冬のニューヨークを舞台に格調高い映像を構築している。
ニコール・キッドマン
ハリウッドの頂点に立つ名女優 豪映画『デッド・カーム／戦慄の航海』で国際的に注目され、ハリウッドに進出。『めぐりあう時間たち』でアカデミー主演女優賞を受賞。名実ともにハリウッドの頂点に立った。主演作に『ムーラン・ルージュ』『コールドマウンテン』『白いカラス』他。1967年生まれ。キャメロン・ブライト
出演依頼が殺到する人気子役 CMからキャリアを出発させ、『ダークエンジェル』等のTVシリーズに出演。『バタフライ・エフェクト』で本格的映画デビュー。以来、人気子役として出演依頼が殺到。出演作に『ウルトラヴァイオレット』『X-MEN：ファイナルデシジョン』他。1993年生まれ。